競馬ナイター2011/10/04

  尼崎の園田競馬がナイターレースを計画していることに対して、競馬場周辺の住民からは治安上の不安の声が上がっています。

 7月から園田競馬の開催者である兵庫県競馬組合の議員になった私はいきなり渦中の人になってしまいました。

 というのも、ナイター開催について議論したはずの競馬組合の3月議会の議事録を読んで、とんでもないことに気付いたのです。

 それは、「この競馬事業について続けるか辞めるかを考えて決める主体はどこにもない」ということです。
 
 ちょっと長くなりますが説明します。

 兵庫県競馬組合は、兵庫県と尼崎市と姫路市の三者で構成する一部事務組合です。もとより公営ギャンブルの開催権は地方自治体にしかありませんから、この三自治体がそれぞれの開催権を持ち寄って共同で公営ギャンブルを開催している事になります。
 
 その開催場所が、園田競馬場だというわけです。姫路競馬場でも少し開かれますが、最近は大半のレースは園田です。(ですから、以後この兵庫県競馬組合のことを園田競馬と呼びます)


 さて園田競馬は地方競馬で、天皇賞やダービーのある中央競馬(JRA)とは違って近年は売上が長期低落傾向にあります。

 園田競馬も、ここ数年は公営ギャンブルの主目的である配分金(自治体が受け取る、儲けの分け前)も出せない状態で、とうとう昨年度は5億円もの赤字を出してしまいました。

 売り上げが低迷する中で、競馬の活性化について意見を求めた委員会からは、「赤字が出たらその年から五年間の間に競馬事業の存続か廃止かについて見極めなさい。」と言う答申を受けていました。

 この答申に従って、存廃の見極め期間に入った中で、このナイター開催が計画されているのです。

 ではナイター開催について利害得失を考えてみましょう。
 
 ナイター開催の為には、照明設備など6億円の投資が必要です。

 それから周辺住民から上がっている治安上の不安も無視できません。これまでも競馬帰りの客から「金を貸してくれ」と言われたり、子供や女性がからかわれたりという被害があったそうで、「これが夜になるとどうなるだろう」という周辺住民の不安は理由があります。
 
 これがナイター開催のリスク、つまり利害得失の「害」「失」の方です。

 では利害得失の「利」「得」は何なのか。もちろんナイター開催で見込まれる売上の増加です。

 (つづく)

園田競馬場 つづき2011/10/27

ナイターレースで売り上げは伸びるか?

 ナイターレースをやっている川崎と大井の競馬場を視察してきました。大井競馬場はハイセイコーがデビューした所だそうで、これはなかなかの物語ですね。設備も立派で、夕刻からはサラリーマン風のグループやカップルでにぎわいだします。園田競馬場とはかなり雰囲気が違います。
 
 川崎競馬場も、レースはやっていませんでしたが、コースの内側は奇麗な芝生が敷き詰められていて、開催日は子連れのお母さんたちが女子会をやっている風景が見られるそうです。
 いずれも周辺は住宅地ではないので周辺住民からの苦情などはないそうです。
 しかし、この両方とも実質赤字だそうで、開催者の自治体にはここ何年か一切お金は入っていないとの事。

 園田競馬場は設備投資の面でもこの二場に比べて圧倒的に立ち遅れています。
 ナイターをやれば売り上げが伸びるという競馬組合の話ですが、この二つの競馬場でも儲かっていない現実からするとどうなのでしょうか。