ナチズムの健康、清潔、環境志向2012/06/20

 大阪の橋下市長をはじめとする「維新の会」が注目を集めています。
 民主党の政権交替が期待はずれの迷走状態。と言って自民党など野党にも、はっきりした展望がない。
 こんな中で「統治機構を変える」「決めて実行する」などと、くっきりした物言いをする橋下さんへの期待が高まっているのでしょう。
 
 他方では、その攻撃的な姿勢と独善的な言論に対して、「ハシズム」などと警戒心をいだく向きもあるようです。 「ハシズム」というのはドイツのヒットラーに率いられたナチスの「ファシズム」に似ている、と言うことなのですが・・・。

 「健康帝国ナチス」という本を読みました。第二次世界大戦をおこし、ユダヤ人虐殺をはじめ、様々な人道犯罪をおかしたナチスが、他方では、たばこの害を訴える撲滅運動を大々的に展開した世界初の政治団体であることを知りました。
 
 他にも、ガン撲滅の研究と運動、食品安全(全粒粉のパンを推奨、添加物に反対)、動物愛護、アスベストや放射線の害への警告、菜食主義・・・。
 ナチスはこのような主張とキャンペーンを行っていたのです。        

(太字は引用)
 「反ユダヤ主義はナチスのイデオロギーの中核であったが、大衆がナチスに惹かれたのはそれが最大の理由ではなかった。
 大衆はナチズムに、その健康志向をはじめとする様々な分野に、若さの回復を見たのである。ナチズムに、大手術と徹底した浄化を望んだのである。しかもそれは必ずしも、忌まわしい方向だけではなかった。」

 「我々が普通に考えている以上にナチズムというのは込み入ったもので、まことしやかな、妙に魅力的な側面すら持っている・・。
『我々』と『奴ら』を隔てる壁はそれほど高くない・・。」

 「ドイツの工場の空気と水からアスベストと鉛を除去しょうというのと、ドイツ国家からユダヤ人を一掃しようというのは同じ発想だ」

 ナチズムについて、「異常人格者」や「狂気」、「感情的で攻撃的な民族主義」などというレッテルだけで考えているととんでもない見当違いをしてしまいます。

 「健康」や「清潔」だけでなく、ワンダーフォーゲルやユースホステルや労働者保養施設やアウトバーン(高速道路網)やフォルクスワーゲン、といった沢山の「良いもの」と共に、正にそれらを生み出すものとして、ナチズムはドイツ民衆の心を捉えたようです。

 橋下さんが既得権と闘い、原発に反対する姿勢はどう受け止めたらいいのでしょうか?
ひょっとすると、その目じるしは、ナチスが掲げた次のようなスローガンにあるのかもしれません。

 「健康は義務である!」
 「食事は自分だけのものではない!」
 このような「匂い」のする言葉が出てきたら気をつけたほうがよいのでしょう。

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