尼崎市議会政務活動費の按分について2014/06/18

 丸尾県議の「改革意欲の低下してきた尼崎市議会」「政務調査費に按分制度の導入を」というフェイスブックでの主張に物申したい。

まず、「政務調査費」や「按分制度」についての私の理解から。
 政務調査費:議員の仕事に必要な調査活動に必要な費用を補助金(公費)で助成するものです。現在は「政務活動費」と言う名称になっています。

 「調査研究費」「政務調査費」「政務活動費」と名称が変わり法的根拠や許される対象範囲に変化はありますが、今の議論には関係しないと思われますので、丸尾県議が使う「政務調査費」の名称のまま使います。
 
 按分制度:その政務調査費の支出にあたって、私的な支出が混在する可能性があり、区分けの難しい費目について、あらかじめ一定の比率(たとえば1/2)で公費支出の範囲を定めておくものです。

 さて、件の「市民オンブズ尼崎」の陳情は、尼崎市議会の政務調査費の支出に按分の考えを入れるよう求めるものです。

 この陳情からもわかるように、尼崎市議会は政務調査費に按分の考え方を入れていません。
 
 これはこれまでの政務調査費をめぐる議論の積み上げの結果です。
 その代わりそれぞれの支出項目について、政務調査費の支出対象とすることの可否をはっきり決めている、またはしかるべき制限を加えているということです。

 按分の考え方を取り入れろと言う意見は、これまで尼崎市議会の中でも無かったわけではありません。
 実は私はそのたびに反対してきました。按分を取り入れるとそれを言い訳にして、支給対象の範囲がうんとひろがって行く可能性が生じるからです。

 たとえば、ガソリン代。「議員は調査のために自分の自動車を使うことがある。按分を」
 たとえば、電話代。「これも調査に使う。議会では公用の電話が使えるが、自宅や外ではどうするのか。按分せよ」

 たとえば、事務所費。「事務所を持つ。一部は調査研究のためだ。一部は公費で負担してくれ」

   ・・・

 「切りが無くなる」と言うのが私の意見です。

 それよりは、一つ一つの項目について可否をはっきりさせるほうが、わかりやすく可否の議論もしやすいと考えます。

 調査研究ということの本質からして、すべての費目がまったく純粋に調査研究のみと言えるわけではないのですから、必要な制限を加えることでその弊害を除去できるものには制限を加えます。

 たとえば、陳情も例示したパソコンのリース料。尼崎市議会は、「議会において使用すること」と制限しています。
 按分すればこのような制限は付けにくくなります。どんな使い方でもできてしまいます。

 たとえば、書籍。これは対象に制限を加えることが難しい領域を含んでいます。私はこれも書名の公開を持って最終的には担保するべきだと言っています。どこかの市議が買ったと言われる「女性にもてる方法」、みたいな本は論外としても、可否の議論の分かれる書籍はあるでしょう。だからと言って検閲に付するわけには行きません。公開をもって、誰がどんな本を公費で買って調査研究しているか市民の目で点検しているほうが良いでしょう。按分では中身の区分けがしにくいと思います。

 たとえば、広報費。議員や会派が市民向けに配布するのですが、費用がかさむせいもあるでしょう、按分論が最も主張される対象です。
 私は、「議員や会派の広報は、政治的宣伝(それ自体悪いことではないですよ)が主な役割であって調査研究の役割はあってもわずかだから、支給対象とするべきではない」と主張してきました。
 残念ながら尼崎市議会ではこの主張は通らず、支給対象とされています。

 しかし、だからと言って按分を導入しろというつもりは私にはありません。
 按分を言い訳に認めてしまうよりは、議員や会派の広報を公費でまかなうことの是非を問うことのほうが大事だと考えるし、そのためには現状のように可否をはっきりさせる枠組みのほうが良いからです。

 さて、長々と書きました。私が不採択に回った理由は以上の理由があってのことです。この件で議論することはやぶさかではありません。

 市民オンブズ尼崎の皆さんも、ましてや丸尾県議も、尼崎市議会のこのような政務調査費についての基本的考え方と、それについての議論のつみあげをご存じなくて、今回の陳情を出されたり、「尼崎市議会全員が改革に後ろ向きだ」などと非難されたりしたのでしょうか。
 そうは思いませんが、提言ならばともかく、それを受け入れないからと言って非難するからには、より突っ込んだ調査と意見交換や議論があっても良かったのではないでしょうか。

反論の対象2014/06/23

政務活動費についての丸尾県議の意見に対する反論を前回書きましたが、丸尾県議の意見の中身がわからないとのご指摘を頂きました。なるほど、そのとおりです。すみません。以下に引用します。

丸尾県議のブログより
 「私が出直し選挙で当選した不正出張事件から21年。その時に市民派が登場し、白井文市議も登場しました。議会の3分の2が新人で、右も左もわからない中、温度差はありながらも、全体で議論し、当時は先進的であった議会改革を進めてきました。その後、イメージだけで存在感を示せなかった日本新党は、消えていき、議会改革を主導した市民派は、議会に残り、改革のけん引役をしてきました。
ところが、昨日、市議会議会運営委員会において、市民オンブズ尼崎から提出された政務調査費を案分して使えるよう求める陳情書が全員一致で否決されました。広報費や事務費などの支出で、私的な使用もあるので、案分すれば、違法性を問われることなく、気持ちよく使えますよという趣旨の提案だったのですが、おそらく議員の人たちは、自己負担が増えると考え、十分な審議もせず、滅多に行わない即決での不採択を決めました。その少し前には、政務活動費の支給額を、新政会、維新、共産党などの賛成多数で、増額しています。市が財政悪化でアップアップしている状況なのに、まるで他人事。
鳴り物入りで登場した維新の議員は、選挙の公費助成を山ほど使い、政務活動費の増額に賛成し、資産公開は行わないと、旧来の保守政治家とほとんど変わりません。市民派も、存在感が薄れてきています。
全国で当たり前に作られている議会のルールである議会基本条例も、今になってやっと前に進めようとしているところ。
結局、市民が政治に強く関心を持つことでしか、政治を変えていく手立てはないのかもしれません。」

再反論 丸尾県議に 政務調査費について2014/06/25

丸尾県議の反論が出ましたのでそれを紹介してその後の再反論します。

『酒井さんの意見に反論です。
改革意欲が大きく低下してきた尼崎市議会!と書いた理由ですが、今回書いたメインの問題とは別に2つあります。(1つは記載しています)
昨年9月に市民オンブズ尼崎から、「議会改革検討項目を住民から広く意見を募集したり、パブリックコメントを取るなど住民の声を聞いて議会改革を行うよう求める陳情書」が提出されました。しかし、市議会では、審議未了になり、現在まで、市議会から市民への意見を聞くアクションは一切行われていません。会派で独自に、議会改革アンケートなどを取ることもできますが、そういうことをする会派も見当たりません。住民に意見を求めることで、住民の関心が高まり、議会にも良い緊張感が生まれ、それがより良い改革につながっていきます。
もうひとつは、新政会、公明党、共産党、維新の会によって、この4月から政務活動費が月7.5万円から月10万円に引き上げられたことです。類似自治体等の平均額のようですが、市財政が厳しい中で、報酬の削減が一体的に行われるでもなく、安易な引き上げが行われました。
 
市議会として、住民の意見を広く聞くことをしない中で、今回の陳情書の即否決は、住民の意見を丁寧に聴いていく姿勢が市議会にあるとは、私たちには見えませんでした。

酒井さんは、今までの議論の積み上げで、政務活動費の案分の考え方を取り入れていないということを紹介しています。それは事実ですから、そのまま受け入れますが、しかし、昨年5月に西宮市議会の政務調査費(現政務活動費)の支出で、違法な支出も含まれることから、支出の半分しか認めないという神戸地裁の判決が出ています。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201310/0006424779.shtml
尼崎市と同じように政務調査費の案分を認めていなかったことから、このような判決が下されたのですが、尼崎市議会会派が発行する会派広報なども、自分たちの写真を大きく載せるなど、実態としては大きく変わらないだろうと考えています。そして、西宮市議会は、その反省をし、政務活動費の支出基準に案分を入れることを決めました。
http://www.nishi.or.jp/con・・・/0001392900020004200021.html・・・
そのような状況を考えると、尼崎市議会において、今回のオンブズからの陳情書を即否決するのではなく継続審査し、西宮市議会の政務調査費の判例や支出基準、その他の政務調査費に関する判例などを調査したうえで、採択、不採択を決めても良かったのではないでしょうか。
結論ありきの判断だったという印象は否めません。

さらに、酒井さんは、「案分を取り入れると、制限はつけにくくなり、どんな使い方もできてしまいます」と書いています。
確かに使途が広がる可能性は出てくるのですが、支出額は条例で決めていることから、そこでの歯止めは、どちらにしても効くことになります。
一方で、100%公費であれば、支出基準内のものであれば、使途について、十分な精査もせず、好き放題に使う可能性があります。一方で、案分が入り、2分の1は自己負担するということになれば、本当に必要なものかどうかを精査することになります。
現実には、広報費や事務費が、支出の大半を占めることから、それらの支出の2分の1までしか出せない、あるいは○分の○しか出せないということになれば、支出のかなりの部分を抑制することができるのではないかと思います。また、際限なく使途が広がる懸念に対しては、合理的な案分になっていることを検証できるものに限定をすればいいでしょう。事務所費などは、どのような使い方をしているのか第3者が検証できないため、使わないという形で整理できます。結局、使途は、ほとんど広がらないことになります。
市民オンブズマンの中では、案分を取り入れた方がいいというのが、一般的な意見です。
以上のことから、再度、案分については、きちんと検討し直すべきだと考えます。
皆さんも良ければご意見をお願い致します。』


酒井の再反論

 市民意見の聴取や、総額の拡大などまで議論の範囲を意味なく拡張しないでください。言っておきますが私の会派はそれらには少なくとも反対はしていないはずです。
 
 私は、貴方の意見の次の部分に反論しているのです。
「・・・議会改革を主導した市民派は、議会に残り、改革のけん引役をしてきました。
ところが、昨日、市議会議会運営委員会において、市民オンブズ尼崎から提出された政務調査費を案分して使えるよう求める陳情書が全員一致で否決されました。広報費や事務費などの支出で、私的な使用もあるので、案分すれば、違法性を問われることなく、気持ちよく使えますよという趣旨の提案だったのですが、おそらく議員の人たちは、自己負担が増えると考え、十分な審議もせず、滅多に行わない即決での不採択を決めました。」
 
1 政務調査費に、按分の考え方を入れるべきだ。

2 その趣旨の陳情を全会一致で退けた尼崎市議会は、改革のけん引役だったはずの市民派までも含めて改革に後ろ向きになってしまった。

3 按分を導入すれば、違法性を問われることなく気持ちよく使えると言っているのに、議員たちは自己負担が増えると考えて即決で不採択を決めた。

1 について
 これが私が反対した事柄です。理由は前回述べたとおりですが。新しい議論には  反論しておきます。

「按分がなければ支出基準内であれば好き放題に使う可能性がある。按分で自己負  担があれば必要性を考える(抑制される)」
 との主張です。

 今の尼崎市議会の使途基準のうち、どれが按分によって使用が抑制されるのでしょうか。おそらく会派広報費のことをおっしゃっているのでしょう。それ以外にはあまり思い浮かびません。逆に現在は不可となっている使途が按分によって判例のように適法となって可とされてしまうことのほうが問題が大きいと私は考えているのです。
 前回も例に挙げました。例えばガソリン代、電話代、議会外の事務所費。等々、今 尼崎の市議会では按分するまでもなく不可としている項目なのです。
 だから、広報費についても、按分することでそれを可とするのではなく、政務調査 費の本来の趣旨からして不可とするのが適当だと私は主張しているのです。
 現在その主張が通っていないからと言って、按分という危険な手法で妥協して認め るという選択はしたくありません。

 広報費については、裁判所が按分すれば適法と言っていることのほうが私には不思議です。私は何でも裁判所の判断を仰ぐということはあまり好きではありませんからしませんが、幸か不幸か尼崎市議会は広報費を丸ごと可としているのですから裁判に訴えれば白黒ははっきりしやすいでしょう。

 これが、私が即決で反対しようと考えた理由です。

2 について。
 言い訳がましいことはしたくないのですが、この陳情に関する反対の理由が上記のようなことであってもそうおっしゃるのなら「何をか言わんや」です。

3 ちょっと「上から目線」を感じます。「按分にすれば合法のお墨付きがつくから使いやすくなる、とオンブズが言ってやっているのに・・・」

 さらに議員は違法でさえなければ公費をどのように使っても恥じない輩だと思われているようにとれます。
 
 
 付記

 「政務活動費」という名称について。
 私はこの議論で「政務調査費」という名称をあえて使っています。そのほうが本来の趣旨を良く表していると思うからです。
 「政務活動費」という名前になったのは国会議員たちが、根拠法令をその名前に変えたからです。
 この変更は、単に名前にとどまらない内容を持っていました。
補助金の対象が「政務調査」から「政務活動」に変わったのです。「調査」なら「広報費」には疑問をはさめますが、「活動」なら「広報費」も含むと言い易くなります。国への陳情も支給対象に含まれました。「その他」という魔物も入りました。
 総じて、支給範囲を拡大しても良いとの内容です。

 国会議員たちは、地方議員の調査費を自分たちの「政党助成金」に近づけて、もっと使いやすくしてやろうとありがたいことを考えてくださったのではないかと私は考えています。
 だとすればこれこそ「ありがた迷惑」です。調査費が本来の趣旨から逸脱することを「助長」するのですから。

 私が議運委員のときにこの議論があったのですが、私は「名前の変更のみ、実際の支給基準は変更せず」と主張し、「電話代も・・・」などの支給範囲拡大の議論を封じようとしたのです。
 それは「内容変更無しでいく。選挙後の議会で必要なら議論。」という形で決着して今に至っています。
 その「選挙後の議会」でも、今のところ支給範囲拡大の議論は出てきていない現状です。
 そこへこの「按分で使いやすくしたらどうか」という陳情なのです。即決で否定したくなった理由も理解してもらいたいものです。