多重防護2017/05/25

 東日本大震災から6年経ちました。福島の原発事故の汚染地域から避難している人たちの帰還がしきりに話題になっています。
 避難している子どもたちへのいじめも度々報道されます。どうしてこんな悲しいことが起きるのでしょうか。

 原発事故の資料をあさっていて、改めて危機管理、つまり事故や災害への対処の仕方について考えさせられました。

 同じ「五重」でも・・・
 日本の原子力発電所や、政府があげていた「原発は安全」の根拠は「五重の壁」でした
 「五重の壁」とは
表の左側、日本の防護策です。これは「放射能が外に出ないようにする」ことだけを考えたものです。ところが福島原発では、この全部が「壊れちゃった」のです。放射能が外に出た場合の対策は大変お粗末でした。

 これに対して、世界水準ではチェルノブイリ事故のあと「深層(多重)防護」と言う考え方が主流になりました。
 それが表の右側です。第4層から上は、重大事故、つまり放射性物質が放出された場合の対策を意味しています。
 起こってほしくないという気持ちは横に置いて、リスクの存在を前提として対策しておこうというものです。
 
 我が国の原子力発電所や政府の「五重の壁」にはこの第3層までしかありません。
 一般向けによく言われた、「止める」「冷やす」「閉じ込める」(一番左)も同じことで、放射性物質の放出に対する対策はありません。

「事故を起こしてはいけない」ということと、「事故のことは考えなくて良い」ということは違うことです。

 「国会事故調査委員会」が「見たくないものは見えない。見たいものが見える。」と批判したように、日本の原子力安全対策には根本的な欠陥があったと思われます。
 それは、「重大事故のときの対策を立てると、国民に安全性だと言っていたのが嘘になる」という理由によると思われます。しかし、その責任は明らかにされていません。
 責任が明らかにされていないことが、いじめの原因のひとつになっているといえないでしょうか?

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