今度は「ニューヨーク公共図書館」2022/02/02

  「ボストン市庁舎」に興奮してしまって、同じフレデリック・ワイズマン監督の前作「ニューヨーク公共図書館」のⅮⅤⅮを買ってしまいました。  「ボストン市庁舎」と同じ手法、すなわち、この図書館で行われている事をただひたすら撮る。解説なし。ページめくりの代わりに図書館周辺であろう街頭の風景。
 その手法は承知しているつもりでも、いきなりリチャード・ドーキンスのインタビューが、解説なしで始まったのには、やはり驚きました。「私たちドーキンス財団は・・・」とか「遺伝子がどうした」とか言っているので、「ひょっとしてあのドーキンス本人?」と思って写真を調べたら本当にそうだったのです。そして図書館のエントランスのような所で、立ったままその話に聞き入る実に多様な人々。公開の催しなのでしょう。おそらく無料。
 
 これで度肝を抜かれた私は、本館分館を問わず、図書館の中を連れまわされます。
 様々な講演会、テーマは歴史から職業紹介、図書館資料の解説までとても広い。コンサートもある。学習はパソコンから子どもたちの絵本まで多種多様。図書館の運営のための会議、そして図書館らしい、貸し出しからレファレンス、本の仕分けまで。すべての場所に解説なしで居合わせることになる。
 この目くるめくような行脚によって「図書館ってこんなこともするんだ」との驚きから「そうか、これが図書館というものなのか」へ認識が変わりました。
 人間の広く深い叡智の集積であり、すべての人々の知的営みの殿堂である図書館の再定義を示してもらったことになります。 
 
 ちなみに運営資金は市と民間の寄付半々くらいで賄われているようです。日本の自治体の図書館の事業との幅と深さの違いはここにも起因しているのでしょうが、何より職員たちの「図書館の公共的使命」にかける情熱がもたらすものだと思います。