けん銃に手をかけた?2013/02/07

 「拳銃に手をかけた?」 「いや、撃鉄を起こして狙いをつけたようなものだ」
 「刀の鯉口を切った?」 「いや 抜いたところ」
 元「男の子」たちはやや興奮気味に語りあっています。

 「男の子」の張り切るのも無理はありません。中国軍艦が自衛艦に照射したという射撃管制レーダーというのはとても剣呑なものなのです。軍艦であれ何であれ船のマストの上でくるくるまわっているレーダーとは全く違うものです。
 ハリウッド映画でよく登場する照準ための赤い光の点。人物の額にその赤い光が当たるということは、引き金を引けばそこに弾が当たることを意味しています。あれと同じです。
 「ロックオン」という言葉も思い出します。照準が定まったということです。あとは引き金を引くかミサイルの発射ボタンを押すだけです。
 最近の大砲やミサイルは、このレーダー照準が定まるとあとは100発100中です。
直ちに回避か反撃をしても、次は「撃たれる」ではなくて「命中」なのです。

 西部劇では相手が拳銃に手をかけたら、いや拳銃に向けて手を動かしただけで正当防衛が成立すると言われていました。
 時代劇でも刀の柄に手をかけたら戦闘開始でした。
 
しかしその論理は危険です
 私たちはひょっとすると、とても「ヤバイ」やつを相手にしているのかも知れないのです。考えてみてください。中国軍というのは中国政府の軍隊のようで、実はそうではないのです。中国共産党の軍隊なのです。「共産党が政権を握っているのだから同じことじゃないか」と言われるかもしれませんが、私たちの国がかつて持っていた軍隊のことを思い浮かべて下さい。帝国陸海軍も日本政府の軍隊ではなくて天皇の軍隊でした。天皇は日本の元首でしたから、天皇の軍隊は政府の軍隊だと言えましたか?
 統帥権は政府ではなくて天皇に属しているので、日本軍は出先で政府の知らないままに行動し、追認させることができました。そのことが日本を侵略国家として振舞わせる上で大きな要因になりました。
 政府の統制を離れることが可能な軍隊が暴れると政府間外交が統制力を失いますから、カウボーイの撃ち合いになってしまいます。

 近現代の世界で、形式的にせよ政府とは別の統制系統を持った軍隊を私は他に知りません。奇しくも両方とも「こうぐん」(皇軍と紅軍)と唱えるのですが・・・。
 私たちは、政府と別の統制系統を形式的にせよ持っている軍隊というものがどのようなふるまいに及ぶ可能性を持っているのかを自分の国の歴史で知っている稀有な存在です。
 教訓に基づいて冷静に対処しましょう。挑発や屈辱に耐え、「状況次第」の「状況」を改善する努力しか選択肢はないのです。

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